ループイフダンを買いと売りの両建てで仕掛けると、相場が上に動いた時、下に動いた時の両方で決済利益を出せます。基本的に、私は常に買いと売りのどちらも仕掛け、同じ時間枠での決済チャンスを片方のみの場合に比べて2倍にする戦略を取っています。
ただ、想定した上下の値幅内で完全なレンジ相場となっている場合は何も考えずに買いと売りで同じ設定を仕掛けても良いですが、普通はそんな相場が永遠に続くことはありません。
相場のトレンドや見通しに従った設定を行い、トレンドや見通しが変わったときには設定のメンテナンスをしていくことは必要です。ループイフダンは他の自動売買に比べて設定が簡単で、ほとんど放置しても良いですが、最低限のメンテはした方が利益を大きくできます。
ここでいう設定とは、値幅、ポジション数、仕掛けるイフダンの本数などです。運用している資金の多寡や口座維持率なども関係してくるので、自分の運用にあった設定とメンテナンスをすることが大切です。
私は50万円という比較的少なめの資金で運用しているので、多少リスク選好的な設定で短期で資産を増やせるような攻め方をしています。
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売り買い両建て設定の利点
買いと売りの両建ての利点を説明します。ループイフダンでは、というより自動売買では買いと売りの両建てで設定を組んだ方が良いと思います。
理由は「自動売買は相場を見ないから」です。相場を見ないという言い方は乱暴ですが、自動売買のメリットは相場に張り付いたりチャート分析をして売り買いのタイミングを探ったりということをしなくてもよいことです。そのためのツールですから。
相場が上に動いても下に動いても気にすることなく利益を出せるシステムが自動売買なので、それであればどちらにも対応した設定をしておくのは至極道理にかなったものです。
決済機会が倍になる
ループイフダンで、例えば買いと売りのイフダン設定を全く同じ条件で仕掛けた場合、単純に決済機会が倍になります。つまり、利益が倍になります。
次の図を見てください。これはレートが105円から107円のレンジ相場の場合に、買いも売りも値幅1円でループイフダンを1本ずつ仕掛けている場合の約定の遷移を表しています。同時に仕掛けているので全く同じタイミングで約定されます。

この時の約定を買いと売りのそれぞれで見た場合、次の表のようになります。

②~⑦のどの局面でも決算の約定があり、利益が発生していることが分かります。
仮に買いのループイフダンだけを仕掛けていた場合、③、⑥、⑦の場合は決済が発生しませんので、3,000円も利益を逃していることになります。同様に売りのループイフダンだけを仕掛けていた場合、②、④、⑤の場合は決済が発生しませんので、3,000円も利益を逃していることになります。
買いと売り、どちらも仕掛けていたおかげで2倍の利益を発生させていることが分かります。
しかし、この設定を考えたときに気になるのが「リスクが増えないか」ということではないでしょうか。両建てにすることへのリスクが無いか・・・不安ですよね。
上の図の表なレンジ相場が永遠に続くのであれば、永遠に利益が発生し続けますが、そんなことはあり得ません。相場は必ずトレンドがありますから、買いか売りか、どちらかの「流れ」というものが存在するはずです。
その「流れ」と逆方向に動けば含み損が増え、ロスカット一直線なのではないか・・・という不安です。
結論から言えば、その通りです。上の表のポジションを見たとき、⑦の時点で買いのポジションが3つ、売りのポジションが1つ残っています。この⑦の後、円高トレンドが続けば買いポジションは4つ、5つ、6つ・・・と増え続け、それぞれのポジションが持つ含み損も増え続けます。
売りのループイフダンが新規約定、決済約定されていくので利益も出ますが、それよりも買いのポジションそれぞれが持つ含み損の方が大きくなるので、結果的にマイナスに陥っていきます。
当然、放置すれば証拠金維持率が悪化するでしょう。要するに、そうならないようにループイフダンの設定やメンテナンスをする必要があるのです。ここでの例のように買いと売りを全く同じ設定で組む局面はほとんどないと思います。(超レンジ相場であれば有効ですが)
その考え方については後述します。
- 利益を得るチャンスが2倍になる
必要証拠金が半分になる
買いと売りを両建てで仕掛ける場合のもう一つのメリットが「証拠金が少なくなる」ことです。
これはループイフダンに限った話ではないですが、買いと売りの両方のポジションを持つと「両建て相殺証拠金」というものが発生します。要するに「買い」「売り」で反対のポジションを持っているのだから、その分の証拠金は相殺されるわけです。
買いと売りで全く同じポジション数を持つとした場合、証拠金は半分の50%になります。これは資金効率の面でとても有利になります。同じ証拠金(運用資金)で倍のポジションを持つことが可能になるわけで、当然利益を得る機会も倍になるからです。
決済チャンスで2倍、運用できるポジションで2倍。買いと売りの両建てで仕掛けることのメリットが理解できたでしょうか?特に長期で運用することを考えると、この差は歴然です。
- 必要な証拠金が半分になる
売り買い両建て設定の考え方
売りと買いを両建てで設定する場合、私の考え方は次の三つです。
- トレンド方向を厚くする
- スワップ利益を取れる方を厚くする
- 余力を残す
それぞれ、詳しく見ていきます。
トレンド方向を厚くする
相場には短期にせよ長期にせよ、トレンド、つまり向かっている方向が存在します。その方向のイフダン設定を厚くします。
最初にも書いたように、自動売買はこのトレンドを意識しなくてよいことが最大メリットのツールです。矛盾しているようですが、当然トレンドに従って売買した方が利益は大きくなります。
運用資金が潤沢にあって十分に広いレンジへ細かくイフダンを仕掛けられるのならば良いですが、私のように少ない資金で攻めの設定をする場合には裁量取引と同様にチャートからトレンドを想定し、そちらの向きへイフダンを厚くします。
イフダンを厚くする方法は次のいずれかになります。
- イフダンの本数を増やす
- 値幅を狭くする
- 数量を増やす
どの方法を取るのがいいかは様々な要因が絡むので一概には言い切れないですが、私は値幅を変えたイフダンの本数を増やすことでトレンド方向の厚みを上げています。
例えば、2019年1月現在、ドル円について長期で見ると円高だろうけど、しばらくは狭いレンジでの円安への調整トレンドが続くと判断した場合を考えます。
これは2019年1月下旬現在のトレンドで、年初にフラッシュクラッシュで105円を下回るほどの円高になり、その後に円安方向への調整をしているという場面です。5円以上も一気に円高に進んだことから円安への巻き戻しが進んでいますが、長期的に見ると円高に振れるだろうという想定です。

この局面での私の設定例は次のようなものです。実際には既に買いも売りもポジションを持っている状況ですし、それぞれのイフダンの数量も調整をしたりはしていますが、考え方は同じです。
買い注文A(BA) | 値幅:0.15 |
買い注文B(BB) | 値幅:0.25 |
売り注文A(SA) | 値幅:0.15 |
長期的に見ると円高に向かうと見ているので、売りのポジションは減らしません。円安に進む分だけ売りポジションを増やします。いつ円高に転じてもおかしくないと思っているので、その仕込みをしていることになります。
しかし、短期で見ると狭いレンジでの円安トレンドだと見ているので、売りの設定と同じ買いの設定に加えて、少し値幅を広げた買いの設定を追加します。トレンド方向に厚くしてその分利益を多く出そうということです。ただ、長期で考えると円高だと考えているため、あまり買いポジションを増やしたくはありません。
そこで、値幅を0.15よりも広めの0.25で取り、ポジションの増えるペースを小さくしています。
数量を全ての設定で1とした場合の動きを図にすると次のようになります。図の下の評価、買い注文A、買い注文B、売り注文Bのイフダンで新規約定、決済約定がどのように行われるかをまとめたものです。


円安方向のトレンドのため、売りポジションが決済されることは少なく、売りポジションは⑧の段階で4つまで増えています。対して買いポジションは決済を繰り返しつつ、⑧の段階でポジションは2つです。
決済利益は買い注文Aで600円、買い注文Bで500円、売り注文Aで150円となっています。
買い注文Bを追加しているおかげで、決済利益が500円増え、⑧の段階の売りポジションとの差異も2つです。買い注文Bが無ければ決算利益は500円少なく、ポジション差異も3つですから、買い注文Bの効果が大きいことが分かります。
ちなみにこの後しばらくはこのような傾向が続き、109円あたりを超えたら調整を終えて円高へ反落することを想定しています。そうなれば溜まった売りポジションが決済されて利益が上がることになります。同時に、買い注文Bの値幅は0.25と大きいので、買いポジションを増やしすぎずに下落トレンドに対応していけることになるのです。
スワップ利益を取れる方を厚くする
先ほどの設定は、スワップ利益を取ることも考えての設定です。
例えばドル円の場合、買いはスワップ利益を得られますが、売りはスワップ利益を支払わなければなりません。買いのポジションの方が多ければ、含み損を抱えた場合でも、時間は必要にせよいずれスワップ利益が含み損を消してくれます。
ドル円の金利差は既にかなり大きく、ドルは高金利通貨になっています。さらに金利差が拡大するかと言えば、世界情勢を見る限りすぐにFRBが利上げに踏み切ることはないかと思います。しかし日銀が急激に緩和をやめることもないでしょうし、しばらくは金利差が大きい状況は続くでしょう。
ドル円のスワップ利益はバカになりませんので、スワップ利益も考慮して買いのイフダン設定を優勢に取っています。
この後、円高トレンド優位になった場合は、買いの値幅:0.25を取り消し、さらに円高が深堀されると判断した場合は逆に売りの値幅:0.25を追加する想定です。
ただし、その場合、想定と反して円安に動いてしまった場合は売りのポジションが増加していくことになるので、早めに売りの追加設定を取り消すなり買いの設定を追加するなりして、売りポジション数が買いポジション数を上回ることはないように設定するつもりです。
余力を残す
ループイフダンの画面を見ると「新規注文可能額」という項目があります。
これは追加で注文できる金額を意味しており、ここに常に余力を残しておくことが必要です。
何度も書いていますが、十分に広いレンジにイフダンを仕掛ける資金があれば別ですが、私のように相場に変化があればイフダン設定を見直す戦略を取っている場合、設定変更や追加がしばしば必要になります。
そうは言っても、数カ月に1、2回程度ですが。
新規注文可能額に余力がなくなり口座維持率も悪化すれば、あとはひたすら含み損を抱えて耐えるだけになってしまいます。
例え自分の戦略が外れてしまってもリカバリするための設定変更ができるだけの新規注文可能額は残しておくようにしましょう。
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