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岸田政権の「四半期報告を廃止し、取引所の四半期決算短信に一本化」とは?

四半期報告と決算短信の一本化議論
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岸田政権の骨太方針2022にも記載されている「四半期開⽰の⾒直し」について、そもそも四半期報告とはなにか?決算短信とはなにか?をまとめます。

どちらも企業の経営情報を開示するものですが、規定されている制度が異なります。

それぞれの概要をまとめると、下記の図のとおりです。

四半期報告と決算短信四半期報告と決算短信

四半期報告、決算短信のほかに、有価証券報告書というものもあります。

情報は有価証券報告書>四半期報告書>決算短信の順に多くなります。

 

有価証券報告書と四半期報告書はどちらも金融商品取引法で定められている制度です。

有価証券報告書は、年次決算時に報告が義務付けられており、ほかの報告書と比べると内容はもっとも多いものですが、年に1回のため、情報の更新頻度は低くなります。

四半期報告書は四半期ごとに報告されるため、情報の更新頻度は高くなります。有価証券報告書よりも投資家へ適宜の情報提供を目的とした制度です。

3月決算の企業の場合、以下のように発表されます。

報告書 決算期間 発表月
第1四半期報告書 4~6月 8月
第2四半期報告書 7~9月 11月
第3四半期報告書 9~12月 2月
有価証券報告書 事業年度 6月

 

決算短信は法律ではなく、取引所(東京証券取引所など)のルールで定められている制度です。

決算短信は四半期ごとの四半期決算短信と、年次決算時の通期決算短信があります。四半期決算短信の内容は累計期間で記載されます。

3月決算の企業の場合、以下のように発表されます。

報告書 決算期間 発表月
第1四半期決算短信 4~6月 8月
第2四半期決算短信 4~9月 11月
第3四半決算短信 4~12月 2月
通期決算短信 事業年度 6月

決算短信は、できるだけタイムリーに投資家に情報を届けるため、監査や四半期レビューの終了を待たずに未確定のまま発表されます。

もともと、年に1回の有価証券報告書ではタイムリーな投資情報の閲覧ができないため、四半期報告書が義務化され、それにあわせて短信も四半期ごとの開示が取引所によって定められました。

 

新資本主義が語られるなかで、たびたび四半期報告の廃止は話題になっています。

コスト削減の観点から、法令上の四半期報告を廃止し、取引所の四半期決算短信に一本化したほうがよい、という議論です。

内容が重複している部分も多いため、企業のコストと労力削減のために一本化してしまおうという理屈です。

ただし、反対意見も多いので、決定にはまだ時間が必要だと思います。

金融庁の2022年2月の資料では、四半期報告の継続、見直しそれぞれについて、2018年度のワーキンググループでの意見が示されています。

見直しの意見としては

  • 中長期の企業価値を重視するなら、四半期報告の重要性は低くなる。
  • 投資家や企業の短期的利益志向を助長する。
  • 企業にとって労力がかかる。

継続の意見としては

  • 中長期の目標の進捗を確認するため必要である。
  • 企業の開示姿勢が交代したと海外から取られかねない。
  • 情報の質・信頼性が向上し、市場の価格形成が効率かされた。

四半期報告書は、欧州ではEU内の義務化を廃止しているものの、任意や取引所規則で継続をしているところも多い状況です。

米国では義務化されているものの、廃止の議論の声はあるようです。ただし、米国機関投資家協会は継続の意向を示しているので、やはり世界的には四半期報告は継続される向きだと思います。

 

骨太の方針とは「経済財政運営と改革の基本方針」の愛称(?)です。あくまで方針であって、具体的な政策内容を示すものではありません。

政策にもスピード感が求められる時代であり、岸田政権にはいつまでも検討と注視をすのではなく、行動で示してほしいなと思うところです。

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