この記事では、はじめて米国株に投資を考えている人向けに「現物」と「CFD」の投資方法を比較します。
投資方法 | 説明 |
---|---|
現物取引 | 株式を直接売買 |
CFD取引 | 取得と決済の差額だけを取引 |
現物取引は保有コストが少ないので長期投資に向いている反面、米株は価格が高いものが多いため、運用資金が大きくなる面があります。
CFD取引はレバレッジが効くため運用資金が小さくなる半面、金利などが発生するため、長期のポジション保持ではコストが多くなる面があります。
どちらもメリット、デメリットがあるので使い分けるのがお勧めです。
米国株の投資方法 | 長期保有 | 資金効率 |
---|---|---|
現物 | ○ | × |
CFD | × | ○ |
この記事では米国株の取引において、それぞれにどのような違い(メリット、デメリット)があるかを比較します。
CFD取引そのものについて知りたい場合はこちら。

米国株CFDと現物株式の比較
米国株の現物とCFDは、日本株以上に色々と違いがあるので覚えておきましょう。
米国株を現物で投資するかCFDで投資するかは「買いたい銘柄の価格」「投資予算」「ポジションの保持期間」を考えて選択します。
現物株は保有コストが少ないため長期保有に向いていますが、1株価格の高い米国株だと保有できるポジション数が制限されます。(投資予算が多ければいいですが・・・)
CFDはレバレッジが5倍あるので、同じ投資予算でも多くのポジションを持てます。しかし保有コストが発生するので長期保有には向きません。
なお、高配当銘柄であれば、保有コストと相殺できる場合もあります。
当然ですが「現物で買えるなら現物の方がよい」です。
① 長期投資なら現物株
比較項目 | 米国現物株 | 米国株CFD |
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金利 | なし | あり |
長期投資なら現物株の方がいいですが、その理由は主に金利コストです。金利は金利調整額やファンディングコストなどと呼ばれます。
金利はポジションが日を跨ぐと発生します。
少ないポジション数で保持期間も短ければ気にする必要はないですが、100~1,000株を数カ月、数年単位で抱えると無視できない額になります。
1株200ドルの銘柄だと1日あたり1.5円~2円ほど発生します。ただし、今は世界的に低金利のため、金利は小さくなっています。
金利は証券会社ごとに異なるため、こちらの記事で解説しています。

価格が大きくなればなるほど金利は高くなるので、大きなポジションや株価の高い銘柄を長期で持ちたい場合は(予算が許せば)現物の方が良いです。
比較項目 | 米国現物株 | 米国株CFD |
---|---|---|
配当金 | ある | ある (権利調整額) |
配当金は現物もCFDもあります。CFDでは権利調整額という形で付与されます。
高配当の銘柄であれば、配当と金利が相殺できる場合もあるので、その場合はCFDが有力となるでしょう。
なお、CFDは空売りもできますが、空売りの場合は権利調整額の支払いになります。CFDの空売りポジションを長く抱えることも、コスト面ではあまり良くありません。
そもそも、空売りは基本的に避けた方が無難です。
② 資金効率ならCFD
比較項目 | 米国現物株 | 米国株CFD |
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レバレッジ | 1倍 | 5倍 |
米国株は1株が高いものが多いので、現物株では資金が足りないこともあります。仮に足りても、現物では保持できるポジション数が少なくなります。
CFDはレバレッジが5倍あるため資金の5倍の売買が可能となり、資金効率が高いです。また、空売りができることもCFDの融通が効く面です。
例えば、同じ10万円の資金でも、CFDなら現物の5倍のポジションを持てます。利益も損失も5倍のハイリスク・ハイリターンな取引となります。
また、GMOクリック証券で取り扱いのある銘柄だと、手数料面でもCFDが安いです。
比較項目 | 米国現物株 (SBI証券) |
米国株CFD (GMOクリック証券) |
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最低取引手数料 | 0円 | 0円 |
取引手数料 | 約定代金の0.45 % | 0円(※1) |
最大取引手数料 | 20 ドル | 0円 |
(※1)GMOクリック証券は手数料0円ですがIG証券の場合は16.5ドルです。
証券会社ごとの取引手数料の違いもこちらの記事で詳説しています。

少し前まで現物の最低取引手数料は5ドルでしたが、各ネット証券が一斉に無料へと舵を取りました。現物であればどの証券会社も差はありません。
SBI証券の現物の場合、約定代金の0.45%が20ドルを超えるようだと、最大取引手数料の20ドルが適用されます。つまり、4,444ドル以上のポジションは一律20ドルが取引手数料です。
マイクロソフトの2020年7月の1株価格が200ドル程度なので、22株以上は20ドルということになります。
一方、GMOクリック証券のCFDの場合は手数料は0円です。IG証券のCFDでは1回の取引ごとに16.5ドルかかります。
小さなポジション数で売買すると、CFDの方が現物より取引手数料が高くなりますが、例えばマイクロソフトの22株など、ある程度の単位であれば差はなくなります。
CFDの場合はある程度(少なくとも10株以上)の単位で取引した方がよい、ということを理解しておいてください。
また、GMOクリック証券でCFDの取り扱いがない銘柄は、IG証券などを利用することになります。この場合はCFDでも取引手数料がかかります。
ただし、先述したように、1~2株などの小さなポジションでなければ現物と変わりません。
CFDではスプレッドがあります。現物株にスプレッドはありません。(ドル円の為替スプレッドは発生します)
比較項目 | 米国現物株 (SBI証券) |
米国株CFD (GMOクリック証券) |
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スプレッド | 0円 | 0.25% 程度 |
しかし、ほとんど無視してもよいレベルだと思います。GOLDや原油と違って個別株のスプレッドが大きく開くことはあまりありません。
米国株式を売買するにあたり、現物とCFDの比較を総括します。
- 現物は保持コストが小さく長期保有に向くが、必要な資金が大きくなる。
- CFDはレバレッジが5倍効くため資金効率が良いが、金利のため長期保有には向かない。
上手に組み合わせて使えるとよいと思います。
米国株を取引できる証券会社
取引方法 | 証券会社 |
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現物 | SBI証券 |
楽天証券 | |
CFD | GMOクリック証券 |
IG証券 |
米国株の現物はほとんどのネット証券で取引できます。
SBI証券に口座がある人はそのままSBI証券を、楽天経済圏を使っている人は楽天証券を、マイナーな銘柄にも投資したい人は取り扱い銘柄数の多いマネックス証券を使うとよいでしょう。
米国株CFDは取り扱いのある証券会社が限られおり、有名なのはGMOクリック証券とIG証券です。
これらの使い分けはこちらの記事で詳説しています。CFDは銘柄によって使い分けたいため、GMOクリック証券とIG証券の両方に口座を持っておくことよいと思います。

◆GMOクリック証券
米国株CFD、日本株CFDならびに株価指数CFD。
ゴールドや原油など商品CFDも豊富。
◆LINE証券
1株から買える単元未満株を取り扱う。軽く投資を始めたい人に。
◆SBIネオモバイル証券
1株から買える単元未満株を取り扱う。手数料が定額制で売買頻度が多い人に。
◆One Tap BUY証券
1,000円から端数株(0.01株など1株未満)を購入できる。日本、米国の優良企業が揃う。
◆アイネット証券
FX(為替取引)の自動売買「ループイフダン」
◆ひまわり証券
高レバレッジCFDのくりっく株365。配当もある日経225やイギリスFTSEに。
◆SBI証券
ネット証券最大手。つみたてNISA、iDeCoにも。