日米金利差の拡大を背景に急激な円安ドル高となっており、資産防衛のためのドル買いが注目されています。
円安は円の価値が下がることなので、円で資産を持っていると減価してしまうためです。
この記事では円をドルに換えて保有するときに「FX」と「銀行の外貨預金」を比べ、FXを使うメリットを解説します。
比較は「GMOクリック証券(FX)」「三井住友銀行(外貨預金)」で行っています。
なお、「ドルを保有する」という観点での比較なので、売建玉(※1)やレバレッジ(※2)の観点での比較はしません。
※1:高値で売って安値で買い戻すこと
※2:資産の何倍の取引ができるか
ただし、リスクを避けるため、レバレッジは1~2倍程度にするとよいでしょう。
Contents
コスト(手数料)が安い
コストは手数料とスプレッドに分けられます。
FXは手数料、スプレッドのどちらも外貨預金よりも有利です。
比較項目 | FX | 外貨預金 |
---|---|---|
手数料 | なし | 1円(片道) ※3 |
スプレッド | 0.02 円 ※3 | なし |
※3:1通貨単位(1ドル)あたり
手数料は「円→ドル」「ドル→円」のそれぞれで発生します。
スプレッドは同じ為替レートでも「ドルを買う」と「ドルを売る」で換算為替レートに生じる差のことを言います。
(スプレッドの例)スプレッドが0.2銭のとき
・ドルを買う:100円/ドル
・ドルを売る:99.998円/ドル
金利(スワップポイント)が大きい
ドルは円よりも金利が高いので、ドルを持っていると金利が付与されます。
FXではスワップポイントと呼びます。
比較項目 | FX | 外貨預金 |
---|---|---|
金利(スワップ) | 約170円 (日) | 普通預金:0.010% (年) 定期預金:0.010% (年) |
2023年1月時点を参考。
FXでは日米金利の差をスワップとして受け取りますので、2023年1月を参考にすると4.0~4.5%ほどです。
一般的に外貨預金は「普通預金」「定期預金」で利率が異なります。(大手銀行は同じようですけど)
また、外貨預金の金利は大手銀行は低く、ネット銀行は高く設定されています。
例えば「au自分銀行」の外貨預金の金利は「普通預金:0.5%」「定期預金:2~5%(年数で異なる)」です。(2023年1月時点)
もし外貨預金を選びたい場合は、ネット銀行の定期預金がよいでしょう。
金利(スワップポイント)が毎日付与される
FXのスワップは毎日受け取れます。
外貨預金(普通)の金利は年に2回の利息決算で受取れます。(SMBCの場合は2月、8月)
外貨預金(定期)の金利は満期時に受け取れます。(満期前に解約する場合、普通預金の金利が適用される)
比較項目 | FX | 外貨預金 |
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金利(スワップ)受取日 | 毎日 | 普通預金:年2回 定期預金:満期日 |
なお、FXでは、土日など非営業日のスワップポイントは前日や翌営業日にまとめて付与されます。
いつでも円に換えられる
FXはいつでもドルを円に換えることができます。
外貨預金(普通)もいつでもドルを円に換えることができます。
外貨預金(定期)は基本的に満期日までドルを円に換えることができません。
比較項目 | FX | 外貨預金 |
---|---|---|
ドルを円に換える | いつでも | 普通預金:いつでも 定期預金:満期日 |
定期預金を途中で解約することはできますが、その場合は普通預金の金利が適用されます。
税制面で有利(FXは申告分離課税)
FXはスワップポイント、為替差損益のどちらも「雑所得の申告分離課税」です。
外貨預金は金利は「雑所得の源泉分離課税」、為替差損益は「雑所得の総合課税(累進課税)」です。
比較項目 | FX | 外貨預金 |
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為替差益 | 申告分離課税 (20.315%) |
総合課税(累進課税) (最大55.945%) |
金利(スワップ) | 申告分離課税 (20.315%) |
源泉分離課税 (20.315%) |
外貨預金の為替差益は雑所得の総合課税(累進課税)なので、所得税の税率は他の所得と合算した合計額に応じて異なります。
最大で55.945%の課税の可能性があります。
【番外編1】レバレッジが使える
FXのメリットとしてレバレッジがあります。
国内業者の最大レバレッジは25倍ですので、例えば1万円で最大25万円分の取引ができることになります。
実効レバレッジは「預託金(口座精算価値)に対して何倍の取引をしているか」ということで、実行レバレッジが1であれば外貨預金と同じです。
リスクと資金効率を考えると、実効レバレッジが1~2倍程度になるように入金するのがよいでしょう。
10万円あたり1,000通貨くらいが目安です。
これだと130円/ドルのとき、実効レバレッジは1.3倍です。
【番外編2】売りから入れる(非推奨)
FXは売り建て玉(売りから入る)を持つことができるので、円高局面でも利益を狙うことができます。
外貨預金は現預金なので、売りから入るということはできません。
ただし、トレード目的ではなく「ドルを持つこと」が目的なのであれば、売りから入ることは考えなくてよいでしょう。