2022年度から高校の家庭科の授業で資産運用が取り上げられます。
老後2,000万円問題などもあり、若いうちから投資リテラシーを身に着けることが求められます。投資を始める時期は若ければ若い方が有利です。
この記事では高校生ができる資産運用について説明します。子供のために親がする資産運用ではなく、高校生が自ら実践できる資産運用という観点です。
なお、19歳以下を対象とした非課税制度のジュニアNISAは2023年で廃止が決まっています。良い制度なのですが、申し込みが少なかったとのことで廃止されるようです。
資産運用から学べることは多く、授業で習うだけではなく実践することに意味があります。まずはスモールスタートで始めて、徐々に掘り下げていくのが良いと思います。
この記事では少額から始められて比較的ハードルの低い「投資信託」と「株の積立」を取り上げます。
Contents
高校生に向いている投資条件
証券会社によっては、高校生でも証券口座を開くことができます。
楽天証券など一部の証券会社は未成年の口座開設に対応しています。しかし、社会人と同じ条件下で投資をすることはおすすめしません。
高校生には勉強や部活、友達との交友など、時間もお金も資産運用よりもかけるべきものがあります。であれば、投資はできるだけ簡単に少額で行えるものがよいです。
そのためには3つのポイントがあります。
- 確定申告が不要であること
- 少額で投資できること
- 積み立てができること
① 確定申告が不要であること
株式投資やFX(為替証拠金取引)で利益が出た場合、翌年の2~3月に確定申告をして税金を納める必要があります。これをしないと脱税になります。
確定申告は税務署やオンライン申請などで実施できますが、「特定口座(源泉徴収あり)」の証券口座であれば、申告を証券会社が代行してくれます。この場合は自分で面倒な手続きする必要がありません。
年間の利益が20万円以下であれば確定申告は不要ですが、手間を考えると最初から特定口座(源泉徴収あり)を選択しておくのが良いでしょう。
投資信託や株式の場合、どの証券会社でも特定口座(源泉徴収あり)を選択できます。しかしFXはこの制度がありません。FXの場合は一般口座しかないので、20万円以上の利益が出た場合は個人で確定申告が必要です。
また、FXは投資信託や株式よりも投機性(ギャンブル性)が高いので、この意味でもおすすめしません。
② 少額で投資できること
社会人と同じ運用資金を用意するのは非現実的なので、もちろん少額で投資ができる環境が必要です。
通常の証券会社で日本株を買う場合は単元数(100株)の単位でしか購入できず、最低必要資金は高額になります。しかし、最近は1,000円からでも株へ投資ができるサービスも登場してきており、後ほど紹介します。
また、投資信託であれば100円からでも投資できます。
③ 積み立てができること
積立投資は購入金額や時期を分散することができ、リスクの低減になります。高値で買ってしまう可能性を下げ、平均購入単価を平準化することができます。
1回で多額を投資してしまうと、それ以降の投資が難しくなりますし、精神的にも辛くなります。毎月、毎週など、定期的に少額ずつ積み立てる投資方法を選びましょう。
例えばお年玉やアルバイトでまとまったお金が入ったからと、一気に目的の株を購入するよりも、12カ月に分けて分割して購入していく方が良いです。
投資信託はもちろん、株式でも積み立てができるサービスがあるので利用しましょう。
高校生に向いている投資方法
2つの投資方法を紹介します。
どちらも高校生(未成年)の口座開設が可能で、かつ「高校生におすすめの投資条件」の条件を満たします。
- 投資信託(楽天証券)
- 株式投資(PayPay証券)
① 投資信託(楽天証券など)
楽天証券などの証券会社で投資信託を積み立てる方法です。
投資信託とは、投資ファンドが投資家からお金を集め、投資家に変わって資産を運用するサービスです。いわば「プロにお任せ運用」ということになります。
プロに任せるので、自分は何も考える必要が無く簡単ですが、自分で考えて投資する楽しさや面白さがありません。
世の中の動きに敏感になったり、企業の業績分析をしたりなど、自分で勉強しようという意欲もあまり起きないかもしれません。
投資信託は主に日本や米国の株式市場全体に投資する方法です。日経平均株価インデックスや全米株価インデックスなど、大きな範囲に投資します。
楽天証券では100円から投資信託の積立をすることができます。1回積み立て設定をしてしまえば、その後は自動で毎月設定した金額で設定した投資信託を買い付けてくれます。
証券口座に預けたお金から自動で引き落とすので、お年玉などまとまった資金が入ったら証券口座に入れておくと良いでしょう。銀行口座からの自動引き落としも対応しています。
② 株式投資(PayPay証券)
PayPay証券ので日本企業や米国企業の株式を積み立てる方法です。
個別企業の株は、好きな会社や自分が使っているサービスを提供している会社に投資ができるという点で、投資信託よりも面白いと思います。
また、投資する銘柄(会社)を調べるという点で、投資信託よりも勉強になるでしょう。
株数で買うのではなく、金額で買うことができるのがPayPay証券の特徴です。
例えば1株が1万円の株を1,000円分だけ購入する場合、0.1株を購入することになります。1株に満たなくても配当金は付与されるので、株式投資を体験することができます。
PayPay証券の積立アプリは1,000円から積立金額を設定することができ、積立タイミングなども自由に設定することができます。
また、PayPay証券の日米株アプリでは、積立ではなく直接購入できます。こちらも1,000円から購入できるので、直接購入をしたい場合は利用してみるといいと思います。
PayPay証券では日米の個別株だけでなく、日経平均株価指数やS&P500株価指数などのインデックスへも1,000円から投資できます。広く浅く投資を体験してみたい場合にはぴったりだと思います。
まとめると、楽天証券などのネット証券で投資信託を毎月積み立てる。積立金額は100円から設定できる。eMAXIS Slim 米国株式(S&P500)など定番の銘柄を選ぶ。
投資信託はファンドにお任せ運用なので、PayPay証券の積立アプリや日米株アプリで自分で選んだ企業の株を買う。2~3程度の銘柄に絞り、毎月1,000円~を積み立てていく。
両方やってもいいですし、どちらかだけでもいいと思います。予算に合わせて積み立て頻度や金額を考えててみてください。
社会人であっても、資産運用を考えたことが無い人は多いです。まずはスモールスタートをしてみることが大切です。