米国株は1株から売買できます。
しかし1株でも単価が高いのが米国株。例えばAmazonの2020年6月現在の株価は2,480ドルです。1株だけでも約30万円が必要です。
現物で取引しようとすると大きな資金が必要になりますが、CFDであればレバレッジが効くため、少ない資金でも取引できます。
米国株CFDのレバレッジは5倍なので現物に比べて1/5の資金で取引できます。
この記事では、米国の個別株CFDを扱うGMOクリック証券とIG証券について、手数料や取り扱い銘柄数、使い勝手などの面で比較します。
GMOクリック証券とIG証券の比較
手数料の安さの面ではGMOクリック証券が有利です。GMOクリック証券のコストはスプレッドだけで取引手数料は0円です。
一方、IG証券では1回の取引あたりの手数料が定額のため、約定額が小さいと手数料が割高になります。です。そのため、約定額をある程度大きくしないと手数料負けします。
取扱銘柄数ではIG証券が有利です。GMOクリック証券では選りすぐりの優良企業を扱っているため、ベンチャー銘柄やIPO銘柄は取引できません。
比較項目 | GMOクリック証券 | IG証券 |
---|---|---|
コスト | 安い | 高い |
取り扱い銘柄数 | 少ない | 多い |
手数料(コスト)の面ではGMOクリック証券に利があり、銘柄数の多さではIG証券に利があります。どちらも口座を持っておき、銘柄によって使い分けるのが良い活用方法です。
① コスト(手数料など)
GMOクリック証券とIG証券のコストを一覧にまとめました。
比較項目 | GMOクリック証券 | IG証券 |
---|---|---|
①取引手数料 | 0円 | 16.5ドル/取引 |
②金利 | 3.0 % | 2.5 % |
③スプレッド | やや広い | やや狭い |
IG証券の取引手数料は、1取引ごとに発生します。約定額やポジション数に関係なく定額のため、ある程度まとまった約定額で売買しないと手数料負けします。
金利(オーバーナイト金利)は、ポジションを翌日に持ち越すことで発生します。GMOクリック証券では金利調整額、IG証券ではファンディングコストと呼ばれます。
GMOクリック証券は取引手数料がないため、コストの面ではお得です。ただしIG証券の取引手数料も、ある程度まとまった約定額なら単位あたりでは低くできます。
「取引手数料」「金利」「スプレッド」をマイクロソフトの例で説明します。株価を「187.27ドル」、為替レートを「109.58ドル円」とします。
① 取引手数料
比較項目 | GMOクリック証券 | IG証券 |
---|---|---|
取引手数料 | 0円 | 16.5ドル/取引 |
GMOクリック証券では取引手数料を気にせず、頻繁に売買することができます。押し目買いや部分利確で取引手数料のコストを気にする必要がありません。
IG証券では約定額に関係なく取引ごとに16.5ドルの手数料が必要です。決済の時も必要なため往復で最低33ドルの手数料がかかります。
そのため、少なくとも10~30株程度で売買をしないと、取引コストが高くなります。逆に100株をまとめて取引すると、1株あたりの往復手数料は0.33ドルになります。
マイクロソフトを1株、10株、100株買った場合の「1株あたり往復手数料」を比べてみましょう。
1株あたり取引手数料 | GMOクリック証券 | IG証券 |
---|---|---|
1株買う | 0円 | 33ドル(3,616円) |
10株買う | 0円 | 3.3ドル(361円) |
100株買う | 0円 | 0.33ドル(36円) |
さらに「何%値上がりすれば取引手数料を回収できるか」を理解しておくことが重要です。
株価が1%値上がりしたとすると、1株あたり1.88ドルの利益になります。往復手数料が33ドルなので、1%の値上がりの場合は18株を持っていれば取引手数料を回収できます。
同じ考え方で、5%の値上がりの場合は4株を持っていれば取引手数料を回収できます。
IG証券の場合は、このように取引手数料と約定額、利確の値上がり率などを考えて取引する必要があります。
② 金利
比較項目 | GMOクリック証券 | IG証券 |
---|---|---|
金利 | 3.0% | 2.5% |
金利は両社であまり大きな差はありません。ただし、少しの差ですがポジション金額が多ければ影響はあります。
マイクロソフト(187.27ドル)の1株に対する1営業日の金利を比較します。
比較項目 | GMOクリック証券 | IG証券 |
---|---|---|
金利 | 0.017ドル(1.8円) | 0.014ドル(1.6円) |
若干、IG証券の方が有利です。
それぞれの金利の計算式を示します。「±」の箇所は、買いが「+」売りが「-」となります。基準金利は「銀行間取引で利用される金利」のことで、米国株CFDであれば「FF金利」になります。
- GMOクリック証券の金利計算式
総取引金額(当日終値 × ロット数) × (基準金利 ± 3%) ÷ 360日
次のようになります。2020年6月の基準金利は0.25%です。
0.017ドル ≒ (187.27 × 1) × (0.25 + 3) ÷ 100 ÷ 360
GMOクリック証券では、金利調整額はアプリの画面で確認することができます。
- IG証券の金利計算式
総取引金額(当日終値 × ロット数) × (基準金利 ± 2.5%) ÷ 360日
次のようになります。2020年6月の基準金利は0.25%です。
0.014ドル ≒ (187.27 × 1) × (0.25 + 2.5) ÷ 100 ÷ 360
ちなみに金利は土日など市場が閉まる場合、その前日にまとめて発生します。金曜日だと、土日も合わせて3日分が金利として発生します。
現在は世界的に低金利が長期化しているので、金利の面では有利な情勢と言えます。
③ スプレッド
比較項目 | GMOクリック証券 | IG証券 |
---|---|---|
スプレッド | やや広い | やや狭い |
GMOクリック証券とIG証券のスプレッドをマイクロソフトで比べてみます。
スプレッドとは買うときと売るときの価格の差です。GMOクリック証券は0.5ドル、IG証券は0.19ドルなので、IG証券の方が小さいです。
② 取り扱い銘柄数
比較項目 | GMOクリック証券 | IG証券 |
---|---|---|
取り扱い銘柄数 | 58銘柄 | 4,000銘柄以上 |
GMOクリック証券で取り扱いがある米国株CFDは、NYダウやNASDAQに上場している大企業の一部だけです。IG証券はほとんどの企業の株式CFDを扱っており、新規IPOされる銘柄もいち早く対応しています。
いくらコストが安くても、買いたい銘柄がないのでは仕方がないので、IG証券の口座も作っておくと便利です。
GMOクリック証券で取り扱いのある米国株CFDはHPで確認できます。2020年6月現在、58銘柄の取り扱いがあります。
大企業の米国株CFDを取引きしたい場合はGMOクリック証券で良いですが、それ以外の銘柄の場合はIG証券になります。
【基本】個別株CFDと現物株の比較
手数料の章で説明したように、個別株CFDは金利の支払いが必要なため、超長期には向きません。一方でレバレッジが5倍あるので資金効率が非常によいメリットがあります。
この章では、米国個別株CFDと米国現物株でどのような違いがあるかを比較します。
GMOクリック証券の米国株CFDとSBI証券の米国株現物で比較しています。
比較項目 | CFD | 現物 |
---|---|---|
取引手数料 | 0円 | 約定代金の0.45% |
金利 | あり | なし |
銘柄数 | 少ない | 多い |
米国現物株の売買には取引手数料がかかります。
SBI証券の場合、1注文あたり約定代金の0.45%(税込0.495%)が必要です。ただし、上限手数料が20ドル(税込22ドル)のため、約定額が大きい場合は1株あたりの取引手数料は小さくなります。
マイクロソフトの場合、次のようになります。
取引手数料 | SBI証券 |
---|---|
1株買う | 0.926ドル(101円) |
10株買う | 9.26ドル(1,010円) |
100株買う | 22ドル(2,410円) ※上限22ドルを超えるため |
現物株の場合も、やはり10~100株くらいのポジション数で売買した方が良いことが分かります。ただし、現物株はCFDと違ってレバレッジが効かないので、同じ投資資金でも買える株数は少なくなります。
資金に余裕があり、これと決めた銘柄を買って長期で保有するのであれば、現物株がお勧めです。取引手数料や金利コストを気にせず、押し目で買い増しするなどしながら長期で保有ができます。資金に余裕がなく、短期で大きな利益を出したいなら個別株CFDがお勧めです。
お勧めなのは、NISAや積み立てを利用して現物株を買い、個別株CFDは短期~中期程度の取引で使うことです。また、CFDを売買する場合も銘柄、ポジション数、投資資金などを考慮し、GMOクリック証券とIG証券のどちらで買うかを判断すると良いと思います。