GMOクリック証券のCFDは「証拠金」と「ロスカット」の仕組みが特殊です。
ちゃんと理解しておかないと、資金効率を悪くしたり、相場の急落でロスカットされたりします。
公式サイトの説明は少し分かりづらいので、この記事で詳しく説明します。
Contents
必要証拠金と任意証拠金
GMOクリック証券には「任意証拠金」という考え方があります。
任意証拠金は、必ず必要な「必要証拠金」とは別に、ポジションごとに任意で割り当てる「追加証拠金」のことです。
GMOクリック証券の株式CFDはロスカットレートが必須となっており、任意証拠金はロスカットレートをコントロールするためのものです。
必要証拠金 | 新規ポジション建てに必要な証拠金 |
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任意証拠金 | ロスカットレートを決める追加の証拠金 |
必要証拠金
必要証拠金は「新たにポジションを保有するために必要な証拠金」です。
ほかの証券会社では「維持証拠金」と呼ばれるのが一般的です。
必要証拠金は、新規注文を行うときに、取引余力から拘束されます。
必要証拠金は、相場変動で価格が変わっても変動することはありません。
株式CFDのレバレッジは5倍なので、株価の1/5が必要証拠金となります。
建て単価が263ドルで、建てレートが130.19ドル円の場合、必要証拠金は6,848円です。
つまり、6,848円あれば1ポジション持つことができます。
必要証拠金は株価が変わっても変動しない。
任意証拠金
任意証拠金は「ロスカットレートを決める証拠金」です。
GMOクリック証券では、ロスカットレートが必須設定となっています。
ほかの証券会社では、一般にロスカットは逆指値を使って設定するため、必須になっていないことが多いです。
GMOクリック証券も逆指値は使えますが、それとは別にロスカットレートの設定が必須となっているところが特徴です。
上の例では、建て単価263ドルのロスカットレートを225ドルに設定しており、このとき必要な任意証拠金は1,338円となっています。
38ドル値下がりしたときにロスカットされますが、38ドル×コンバージョンレートが任意証拠金となるわけではありません。
発注時に任意証拠金を指定しない場合、ロスカット幅をもとに自動で設定されます。この自動設定のロスカットレートの任意証拠金は0です。
ロスカット幅よりさらにロスカットレートを下げるために追加するのが、任意証拠金です。
なお、ロスカット幅は銘柄ごとに異なり、毎週金曜に翌週分の幅に更新されます。
ロスカット幅はGMOクリック証券のHPにログイン後、インフォメーションから確認できます。
マイクロソフトのロスカット幅は25.54ドルなので、建てポジションが263ドルの場合のロスカットレートは234.46ドルで自動設定されます。
このときの任意証拠金は0円です。
もう少し安全にするため、9.46ドルの任意証拠金を追加して、ロスカットレートを225ドルに変更しているというわけです。
任意証拠金はポジションを持ったあとからでも、増額や減額をすることができます。
追加、減額する分の証拠金は変更時のレートで計算されます。
- 割当済みの任意証拠金は変動しない
- ロスカット幅で設定されたロスカットレートの任意証拠金は0円となる
- 任意証拠金の増額でロスカットレートが下がる
- 増額、減額する任意証拠金は変更時のレートで計算される
任意証拠金の変更(増額・減額)
任意証拠金は「増額や減額が可能」で、任意証拠金の増減によって「ロスカットレートを変える」ことができます。
任意証拠金は「取引余力」から割り当てられますので、任意証拠金の増減で取引余力も増減します。
任意証拠金の変更は「ロスカットレートを変更する」か「増額または減額する任意証拠金を指定する」ことで行えます。
買い建玉ポジションの場合は、以下の計算式で自動計算されます。
なお、コンバージョンレートは現在のレートが使用されます。
現在のコンバージョンレートが129.2ドル円を例に説明します。
① 225ドルから220ドルに増額する
ロスカットレートを225ドルから220ドルと変える場合、ロスカット幅を広げていることになります。
そのため、任意証拠金は増額(追加)となり、増額分は取引余力から追加で拘束されます。
増額される任意証拠金は646円です。
② 225ドルから230ドルに減額する
ロスカットレートを225ドルから230ドルと変える場合、ロスカット幅を狭めていることになります。
そのため、任意証拠金は減額となり、減額分は取引余力へ戻されます。
減額される任意証拠金は646円です。
任意証拠金の変更(エラーケース)
買いポジションの任意証拠金には制限があり、制限を超えるとエラーになります。
増額 | 必要証拠金との合計が取引金額を超えないこと ※取引金額=建て単価×現在のコンバージョンレート |
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減額 | 任意証拠金は0以上であること(マイナスは不可) |
コンバージョンレートが129.2ドル円のときを例に説明します。
① 増額時のエラーケース
拘束証拠金(必要証拠金+任意証拠金)の合計が取引金額を超えることはできません。
この取引金額は、現在のコンバージョンレートで計算されます。
263ドルのポジションの取引金額は、現在のレートで33,976円です。
ロスカットレートが225ドルのとき、すでに拘束証拠金に8,186円が割り当てられているので、25,790を超える増額はできません。
25,790円を増額しようとすると「マイナス額が現在の任意証拠金を上回っています」とエラーが出ます。
1円少ない25,7989円の増額は可能です。
ちなみに「取引金額=拘束証拠金」ということは、実行レバレッジが1倍ということになります。
株式CFDは5倍のレバレッジがありますが、任意証拠金を追加することで、実行レバレッジを低くすることができるのです。
② 減額時のエラーケース
任意証拠金は0以上であることが必要で、マイナスにはできません。
ロスカットレートを225円から250円に変更する場合、3,230円の減額となりますが、任意証拠金がマイナスになるのでエラーとなります。
任意証拠金は0が限界のため、この場合は最大でも1,338円の減額しかできません。
ちなみに任意証拠金を0とした場合は、10.36ドル減額できます。
この場合のロスカットレートは235.36ドルです。
このように、任意証拠金の追加、減額は現在のコンバージョンレートで計算されることを覚えておきましょう。