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オプション取引の仕組みを解説。先物やCFDと比べて損失限定のメリットがある

オプション取引の仕組みを説明
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日経平均のトレードには先物、CFD、ETF、オプションなど色々な方法があります。その中でもオプション取引は初心者には難しく、取っつきにくいイメージがあります。

しかし、オプションは取引方法によっては最大損失が限定されるため、資金管理のしやすい取引方法であるという面があります。

この記事では日経225オプション取引を例に、オプションの仕組みを説明します。

この記事で分かること。

  • オプション取引の仕組み
  • オプション取引のトレード方法
  • オプション取引のメリット・デメリット

オプション取引とは

日経225オプション取引を文章で説明すると、以下の表現になります。

  1. 決められた期日(満期日)に
  2. 決めた価格(権利行使価格)で
  3. 日経平均株価を売買する権利
  4. を売買すること

日経平均を売買する権利を売買」するとはどういうことでしょうか?

まず最初に用語を整理しておきます。

用語 説明
コールオプション 買う権利
プットオプション 売る権利

まず「オプションが権利」であることを理解しましょう。

この権利とは「将来のある日(満期日)に」「あらかじめ決めた価格」で「日経平均株価を買う/売る」という権利です。

この権利には2種類あり、それぞれ「コールオプション(買う権利)」「プットオプション(売る権利)」と呼びます。

オプション取引の4パターン

コールオプションとプットオプションのそれぞれに対し、相場の想定ごとに「買い」か「売り」の2択があるため、取引パターンは全部で4パターンとなります。

オプション取引を「買い手」と「売り手」で表現すると、以下の図に表現された4パターンになります。

オプション取引の4パターンオプション取引の4パターン

今後の相場がどのように動くかの想定で、どのオプションを買うのか売るのかの戦略が決まります。

オプションの種類 取引方法(相場の想定)
コールオプション 買い(上昇) 売り(下落)
プットオプション 買い(下落) 売り(上昇)

基本的には、上昇と予想すればコールオプションの買い、下落と予想すればプットオプションの買いになります。

上昇予想でも下落予想でも「オプションのトレードは買い」で、上昇の場合はコール、下落の場合はプットと覚えていくとよいと思います。

後ほど説明しますが、この2パターンは損失が限定されるオプション取引のメリットを享受できますが、他の2パターンは損失に限界がないためです。

ただし、この記事はオプション取引の理解が目的のため、オプション売りについても説明します。

オプションの取引の仕組み

コールとプットのそれぞれに対して「買い」「売り」の2択があることが、オプション取引を分かりにくくしている要因のひとつかもしれません。

まず「コール」の例でオプション取引の仕組みを理解しましょう。

コールで買いと売りの2パターンが理解できれば、プットも同じ理論で理解できます。

コールの買い

次の図はオプション取引の4パターンのひとつである「コールオプションの買い」を示しています。

なお、分かりやすくするために日経平均株価やオプション価格は簡略化しているため、実際の価格とは異なります。

オプション取引の流れ(コールの買い)オプション取引の流れ(コールの買い)

買い手はオプション価格(プレミアム)を支払い、コールオプションを買います。

このコールオプションは満期日までの間に反対売買で決済することができ、オプション価格が上がっていれば利益となります。

満期日までに決済していない場合、権利行使か権利放棄となります。

権利行使の場合は、日経平均株価の決済価格とコールオプションの権利行使価格との差金決済となります。

権利放棄の場合は、コールオプションの買い付け代金だけが損失(最大損失が限定される)となります。

20,000円の権利行使価格でコールオプションを1枚買った場合で「①満期日前に途中で決済」「②満期日に権利行使」「③満期日に権利放棄」のパターンを説明します。

①(コールの買い)満期日前に決済

①満期日前に途中で決済_コールの買い①満期日前に途中で決済_コールの買い

日経225オプションの取引単位は1,000なので、1枚買うと「オプション価格×1,000」が取引に必要なオプション料です。

日経平均株価の上昇に伴い、300円で買ったコールオプションが400円に値上がりしています。この状態で決済すると、差額の100円×1,000(取引単位)×1枚の10万円の利益になります。

②(コールの買い)満期日に権利行使

②満期日に権利行使_コールの買い②満期日に権利行使_コールの買い

権利行使価格20,000円で買ったコールオプションですが、満期日に日経平均株価は22,000円に値上がりしています。

利益が出ているので権利行使されます。決済時の価格と権利行使価格での差金決済となり、買い付け代金を引くと170万円の利益になります。

③(コールの買い)満期日に権利放棄

③満期日に権利放棄_コールの買い③満期日に権利放棄_コールの買い

権利行使価格20,000円で買ったコールオプションですが、満期日に日経平均株価は17,000円に値下がりしています。

仮に権利行使したとすると330万円の損失ですが、権利放棄すると買い付け代金の30万円だけの損失となります。

このように権利を放棄することで損失が限定されるというメリットがあります。最大損失額があらかじめ新規注文時に分かるので、資金管理がし易くなるのです。

 

決済について、もう少し詳しく説明します。

日経225オプション取引の場合は、満期日前に権利行使/放棄をすることができません。このように満期日まで権利行使/放棄できないタイプをヨーロピアンタイプといいます。

満期日前でも権利行使/放棄できるタイプはアメリカンタイプと言います。

日経225オプションのようなヨーロピアンタイプを満期日前に決済する場合、必ず反対売買での決済となります。

また、満期日までに反対売買で決済していない場合、権利行使または権利放棄で有利な方が選択されます。これは自動なので投資家が自分で選択する必要はありません。

満期日には反対売買での決済はできないことにも注意してください。反対売買で決済する時は満期日より前に行っておく必要があります。

コールの売り

次の図はオプション取引の4パターンのひとつである「コールオプションの売り」を示しています。

オプション取引の流れ(コールの売り)オプション取引の流れ(コールの売り)

売り手はオプション価格(プレミアム)を受け取ります。

このコールオプションは満期日までの間に反対売買で決済することができ、オプション価格が下がっていれば利益となります。

満期日までに決済していない場合、権利割当か権利消滅となります。

買い手が権利行使する場合、売り手は権利割当となり、買い手が権利放棄する場合は売り手は権利消滅となります。言葉が違うだけ、と捉えても問題ありません。

権利割当の場合は、権利行使価格と決済価格の差が損失となります。日経平均株価の上昇に制限はないため、損失も無制限になります。

ただし、オプション価格は新規注文時に必ず受け取れます。

権利消滅の場合は、受け取ったオプション価格がそのまま利益になります。

このように日経平均株価の値上がりに限度はないため、コールの売りは損失は無限大となるのです。

20,000円の権利行使価格でコールオプションを1枚売った場合で「①満期日前に途中で決済」「②満期日に権利割当」「③満期日に権利消滅」のパターンを説明します。

①(コールの売り)満期日前に決済

①満期日前に途中で決済_コールの売り①満期日前に途中で決済_コールの売り

コールの売りの場合、新規注文時にオプション価格を受け取れますが、証拠金が必要になります。証拠金は証券会社のHPなどで確認できます。

日経平均の下落に伴い、コールオプションが新規注文時の300円から200円に下落しています。この状態で決済すると、差額の100円×1,000×1枚=10万円の利益になります。

新規注文時に受け取ったオプション価格の30万円を合わせると40万円が利益となります。

②(コールの売り)満期日に権利割当

②満期日に権利割当_コールの売り②満期日に権利割当_コールの売り

満期日に日経平均株価が22,000円に値上がりしています。この場合、買い手は権利行使しますので、売り手は権利割当されます。

決済時の価格と権利行使価格の差である200万円が損失となりますが、オプション価格の30万円を受け取っているので実質は170万円が損失となります。

③(コールの売り)満期日に権利消滅

③満期日に権利消滅_コールの売り③満期日に権利消滅_コールの売り

満期日に日経平均株価が17,000円に値下がりしています。この場合、買い手は権利放棄しますので、売り手は権利消滅します。

売り手は新規注文時に受け取っているオプション価格の30万円が利益となります。

このように、コールの売りは利益限定、損失無限という関係であることが分かります。コールの買いは利益無限、損失限定でしたので、全く逆の関係になっています。

オプション取引をさらに理解する

コールの買い/売りで、利益と損失が逆の関係になっていることを理解しました。

4パターンの取引において「損失が限定」のパターンと「損失が無限」のパターンがあることに注意してください。

利益も同じように限定/無限のパターンがありますが、特に重要なのは、やはり損失についてです。

4パターンの利益・損失の幅

オプション取引の4パターンは下表のとおりでした。

オプションの種類 取引方法(相場の想定)
コールオプション 買い(上昇) 売り(下落)
プットオプション 買い(下落) 売り(上昇)

パターンごとに損失と利益の関係をまとめると以下のようになります。

オプション取引の4パターンごとの利益・損失の幅オプション取引の4パターンごとの利益・損失の幅

楽天証券のHPを参考に作成

コールオプションの買い、プットオプションの買いのパターンでは損失が限定されます。しかし、コールオプションの売り、プットオプションの売りでは損失に限界はありません。

表に利益と損失の関係をまとめると次のようになります。

権利 買い 売り
利益 損失 利益 損失
コール 無限 限定 限定 無限
プット 無限 限定 限定 無限

オプション取引は「コールの買い」「プットの買い」の新規建てのどちらかで取引するのが無難だと思います。

権利行使価格とは

オプション取引ではあらかじめ「権利行使価格」というものが定められています。

日経先物が5円刻みでの取引となるように、オプション取引でもあらかじめ「権利行使価格」が決められ、それに応じたオプション価格が定められます。

これを選択して、どの権利行使価格をそのオプション価格で取引するかを決めるわけです。

以下に、権利価格とオプションの種類の例を示します。

取引ツールではこのような画面から、どれを取引するかを選択します。

将来の日経平均株価がどのように動くかを予想したら、この表のどのオプションをどのように(コールなのかプットなのか、買いなのか売りなのか)取引すればよいのかを考えます。

日経平均株価が22,000円の場合の例を示します。

コールオプション 権利行使価格 プットオプション
アウト・オブ・ザ・マネー 125円 22,750円 325円 イン・ザ・マネー
150円 22,500円 300円
175円 22,250円 275円
アット・ザ・マネー 200円 22,000円 250円 アット・ザ・マネー
イン・ザ・マネー 225円 21,750円 225円 アウト・オブ・ザ・マネー
250円 21,500円 200円
275円 21,250円 175円

用語の意味を説明します。

用語 説明
アット・ザ・マネー 現在の日経平均株価に最も近い権利行使価格。
イン・ザ・マネー 権利行使をした場合、買い手に利益が生じる状態。
アウト・オブ・ザ・マネー 権利行使をした場合、売り手に利益が生じる状態。

アット・ザ・マネーが22,000円の時に、権利行使価格が21,750円のコールオプションを持っているとします。この場合、権利行使すれば22,000-21,750=250円の利益になるので、買い手に利益が生じる「イン・ザ・マネー」の状態ということになります。

 

この記事ではオプション取引について説明しました。

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