IG証券が「ノックアウト・オプション」という新しいオプション取引を始めました。
ノックアウト・オプションは次のような特徴があります。
- 使い方次第で資金効率が良い
- 最大損失額が限定される
取引方法がシンプルで分かりやすく、資金管理と損失管理がしやすいので、初心者でも始めやすいと思います。
この記事でわかること。
- ノックアウト・オプションの仕組み
- ノックアウト・オプションの取引方法
- ノックアウト・オプションのメリット・デメリット
- IG証券の口座開設方法
Contents
ノックアウト・オプションとは
ノックアウト・オプションは「投下資金(オプション料)やリスク許容度を自分で決める」ことができるオプション取引です。
IG証券と言えばバイナリー・オプションで有名な証券会社です。このノックアウト・オプションはバイナリー・オプションを進化させた取引方法とも言えます。
ノックアウト・オプションの仕組み
バイナリー・オプションは価格が「上がるか」「下がるか」の二者択一を予想する「シンプルなルール」と「最大損失額が限定される」というメリットがあります。
しかし、バイナリー・オプションは数時間後(2~24時間)の価格を予想するため、「運の要素が大きい」という面がありました。
ノックアウト・オプションはバイナリー・オプションのメリットを持ちながらも、取引期間を長くすることで運の要素を小さくしていると言えるかもしれません。
さらに、ノックアウトオプションでは「ノックアウト価格」を選ぶことによって、自分で最大損失額とオプション料を決めることができます。これは後ほど「取引方法」の説明で詳しく話します。
ノックアウト・オプションの仕組み(取引の流れ)は以下のとおりです。
- 現在の価格から「上昇(ブル)」「下落(ベア)」の二者択一を予想する。
- ノックアウト価格を選ぶことで「最大損失額(=リスク許容度)」と「オプション料」が決まる。
- 価格がノックアウト価格に到達すると強制損切りされる。(最大損失額=オプション料)
- 決済期限(清算期限)は1年程度と長い。
なお、上の図でも※の注記を入れましたが「外貨建て銘柄の場合、清算時の為替レートによっては最大損失額がオプション料を上回る」ことがあります。
ノックアウト・オプションで取引できる金融商品は下表のとおりです。
後ほど説明しますが、通常のFXやCFDと比べてノックアウト・オプションは資金効率に優れています。
金融商品 | 具体例 |
---|---|
FX | USD/JPY、EUR/USDなど |
株価指数 | 日本225、米国500など |
商品 | 原油、金、銀など |
ノックアウト・オプションの取引方法
仕組みで説明したとおり、ブル(上昇)かベア(下落)の二者択一で取引します。
この記事では「USD/JPYのブル(上昇)」の場合の注文画面で説明しています。
▼ノックアウト・オプションを購入する
注文画面の各値の意味を説明します。
ノックアウト価格は「ブル(上昇)」の場合は「現在価格よりも下のレベル」で選び、「ベア(下落)」の場合は「現在価格よりも上のレベル」で選びます。
「ノックアウト価格=強制損切り価格」なので、これはイメージしやすいと思います。
ノックアウト価格を現在価格と近い価格にするほどオプション単価は安くなり、遠い価格にするほどオプション単価は高くなります。
つまり、ノックアウト価格を選ぶことで「最大損失額(リスク許容度)」と「オプション料」を自分で決めることができるのです。
なお、ノックアウト・オプションの購入は現在価格に対してのみ行えます(成行注文)。価格がいくらになったら発注するという指値注文(予約注文)はできません。
▼ノックアウト・オプションを決済する
ノックアウト・オプションの決済には自動決済と手動決済があります。
自動/手動 | 利確/損切り | 条件 |
---|---|---|
自動決済 | 利確 (指値) |
指値幅を設定している場合、到達すると決済される |
損切り (ノックアウト) |
ノックアウト価格に到達した場合、決済される | |
損切り (逆指値) |
逆指値幅を設定している場合、到達すると決済される | |
手動決済 | 利確 | 画面で成行決済を指示する |
損切り | 画面で成行決済を指示する |
逆指値幅は「ノックアウト価格に到達する前に損切りしたい場合」に設定することができます。損切りしたい価格をノックアウト価格にするのが普通なので、利用する機会はあまりないかもしれません。
ただ、ノックアウト価格は購入後(ポジションを持った後)で変更することができません。このため、ノックアウト価格よりも早めに損切りしたい場合があれば、逆指値幅を利用することができます。
メリット・デメリット
ノックアウト・レベルのメリット、デメリットを考察します。
- 使い方次第で資金効率が良い。
- 最大損失額が限定され、自分で決めることができる
- 決済期限(清算期限)が長い
▼使い方次第で資金効率が良い
ノックアウト・オプションは、ノックアウト価格の設定により、資金効率を高くアクティブな取引ができます。
例えばドル円1万でノックアウト価格を50pipsにした場合の資金(オプション料)は5,000円となります。
下の図はUSD/JPYでノックアウト・オプション、通常のFXでそれぞれ1ロット(1万通貨)のポジションを持つ場合の比較です。ノックアウト価格は50pips(0.5円)のレベルとしています。
ノックアウト・オプションのオプション料は5,130円、通常のFXの維持証拠金は45,552円なので、資金効率が高いことが実感できます。
▼最大損失額が限定される
トレードの世界では最大損失額をコントロールすることが大切になります。
ノックアウト・オプションは最大損失額を事前にコントロールできるので、これもメリットのひとつと言えるでしょう。
▼決済期限(清算期限)が長い
バイナリー・オプションは短期取引のオプションのため、運の要素が大きいです。
ノックアウト・オプションは最大約1年間の決済期限があるため、ある程度ロングスパンで相場を考えることができます。
- 指値注文が使えない
- ノックアウト価格は購入後は変更できない
▼指値注文が使えない
ノックアウト・オプションだけではない(バイナリー・オプションも同様)ですが、成行注文しかできないので、指値をして待つということはできません。
オプションを注文(購入)するときは必ず相場に入っていないとダメなので、仕事などで相場に入る時間が短い人には向かないかもしれません。
▼ノックアウト価格は購入後は変更できない
ノックアウト価格はポジションを持った後に変更することはできません。
ノックアウト価格よりも浅い損切りをしたい場合は「逆指値幅」を利用することができますが、もう少し損切りせずに反発を待ちたいと思った場合はどうしようもありません。
ノックアウト価格に到達した場合は、問答無用に損切り決済されてしまいます。
FXやCFDのように「追証が発生したら追加で証拠金を入金して耐える」ということはできないので注意してください。ただ、含み損を抱えているにも関わらず、なかなか損切りができない方には、リスク管理という点でこれはメリットになるのかもしれません。
口座開設方法
IG証券の口座開設方法を説明します。
IG証券は一度口座を開いてしまえば、ノックアウト・オプション取引もバイナリー・オプション取引もできるようになります。
インターネット上で10分ほどで開設手続き出来ますので、さくっと登録してしまいましょう。
IG証券は非常に投資商品の種類が多い証券会社なので、たとえ今すぐに取引をすることはなくとも、ひとつ口座を作っておくと選択肢が広がって便利です。
口座開設申請
IG証券のホームページから口座開設申請をします。
マイナンバーカード(または通知カード)が必要になるので、表と裏の両面の写真を取っておきましょう。
IG証券のHPから口座開設画面へ行く
IG証券のHPから「ライブ口座開設」をクリックして口座開設画面へ遷移します。
個人情報、住所を入力します。
勤務先、資産状況、投資経験を入力します。
同意事項に同意し、本人確認書類を送付します。
本人確認書類は以下のいずれかのパターンで送付できます。
マイナンバーカードであれば一つだけで良いので、地元の役所に行って交付してもらっておく方が便利です。
- 顔写真なし本人確認書類2点、およびマイナンバーカード確認書類1点
- 顔写真付き本人確認書類1点、およびマイナンバーカード確認書類1点
- 個人番号カード(マイナンバーカード)1点
マイナンバーカードは表面、裏面の両方必要です。
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口座開設手続きが完了すれば、審査の後、IG証券から書類が簡易書留で郵送されます。申請から書類の送付まで1週間程度かかっているようです。
口座の有効化
IG証券から書類が届いたら口座の有効化を行います。
書類にはベストレシーバー番号(10桁)が記載されていますので、これをブラウザかIG証券の取引アプリから入力して口座を有効化しましょう。
IG証券の取引アプリは以下からダウンロードできます。
口座が有効化されれば、入金して取引を開始することができます。
ノックアウト・オプションは、慣れないうちは取っつきにくいかもしれませんが、「損失が限定される」「使い方次第で資金効率が良い」「最大約1年間ポジションの保有が可能」という点で優れた選択肢になると思います。
上昇(ブル)か下落(ベア)の二者択一するという、シンプルな取引ルールという分かりやすさも魅力です。
ノックアウト・オプションの使い方をさらに詳しく知りたい人はこちらのページで解説していますのでご覧ください。
プレーン・オプションと呼ばれる通常のオプション取引についてはこちらのページで解説しています。少し難しいですが、興味がある人はご覧ください。