日経先物や日経平均CFDで投資を始めたいと思って調べると、オプション取引というものを目にすると思います。
先物やCFDと並べて紹介している証券会社が多いからですね。
しかし、ちょっと解説を読んでも「なんぞ??」となります。
いや、しっかり読んでも「なんぞ??」となります。細かく説明しすぎていて読むのすら難しいんですよね・・・。
ということで、この記事でオプション取引について、分かりやすく紹介したいと思います。
ぶっちゃけ、日経平均インデックスへの投資方法は何種類もあって、初心者はワケワカメになります。
その中でも特に日経225オプション取引は分かりにくいです。
しかし仕組みを覚えれば、投資方法の選択肢として大いに有効です。
Contents
オプション取引とは
日経225オプション取引とは、簡単に言うと・・・
- 決められた期日(満期日)に
- 決めた価格(権利行使価格)で
- 日経平均株価指数を売買する権利
- を売買すること
・・・???
売買する権利を売買するってなんぞ?ですよね。
もう少し分かりやすく説明します。
オプション取引の仕組み
まず最初に用語を整理しておきます。
用語 | 説明 |
---|---|
オプション | 決められた日(満期日)に、取引時に決めた価格で、日経平均株価を売買する権利 |
コールオプション | 日経平均株価を買う権利 |
プットオプション | 日経平均株価を売る権利 |
まず「オプションが権利」であることを覚えましょう。
この「権利」とは、「将来のある日(満期日)に」「予め決めた価格で」「日経平均株価を取引する」権利です。
この権利には2種類あり、それぞれ「コールオプション(買う権利)」「プットオプション(売る権利)」と呼びます。
次の図で「権利を取引する」ということがどういうのとなのかを理解していきましょう。
この図では小雀Aが4/1に、権利行使価格22,000円の買う権利(コールオプション)を、オプション価格500円で買っています。
そしてコールオプションの満期日である6/14に、この権利を行使し、25,000円に値上がりした日経平均株価を22,000円で買っています。
つまり、25,000-22,000-500=2,500円の利益が出たことになります。
なお、正確には差額で処理されるため、実際に日経平均株価がやり取りされるわけではありませんが、このように理解しておけばOKです。
どうでしょうか。オプション取引の基本的な仕組みが理解できたかと思います。
日経平均株価そのものを買うのではなく、日経平均株価を買うという権利を買っているのがポイントです。
ちなみに、日経平均株価指数そのものを売買するのが日経先物や日経平均CFDです。(正確に言うと少し違いますが、そう捉えておけばOK)
ここでは、権利を買った相手である小雀Bは、ひとまず無視しておきましょう。誰かから権利を買った、程度の理解で大丈夫です。(後程、説明します)
オプション取引の4パターン
オプション取引の基本的な仕組みを理解したところで、次にオプション取引の4パターンを理解しましょう。
さきほど、オプション(権利)には2つあると書きました。買う権利(コールオプション)と売る権利(プットオプション)です。
先の例では「コールオプションを買って」いましたが、もちろん「コールオプションを売る」パターンも存在します。また、プットオプションを売り買いするパターンもあります。
すなわち、オプション取引のパターンは、それぞれの権利ごとに次の4つです。
- コールオプション(買う権利)を買う
- コールオプション(買う権利)を売る
- プットオプション(売る権利)を買う
- プットオプション(売る権利)を売る
それぞれのパターンで、新規建てをする場合を見ていきましょう。
①は「コールオプションを買う」パターンです。これは「オプション取引の基本的な仕組み」で説明したパターンと同じですね。
③は「プットオプションを買う」パターンです。コールオプションがプットオプションに変わっているだけです。この場合の決済パターンは後で説明します。
②は「コールオプションを売る」パターンです。①のパターンでは売り手が小雀Bでしたが、それが小雀Aになっているだけですね。
④は「プットオプションを売る」パターンです。③のパターンでは売り手が小雀Bでしたが、それが小雀Aになっているだけですね。
オプション取引のパターンはこれだけです。図で理解すると分かりやすいと思います。
決済の2パターン
オプション取引の4パターン(新規建て)を理解したところで、次に決済の2パターンを理解しましょう。
- 満期日までに反対売買する
- 満期日を迎えて自動的に決済する(権利行使/権利放棄)
それぞれのパターンを確認しましょう。
満期日に権利行使されるパターン
①満期日までに反対売買するパターンは、反対売買によって持っているポジションを解消する決算方法です。
買い手は持っているオプションを売り、売り手は売っていたオプションを買戻すことで決済を行ないます。
オプション取引の新規建て4パターンで言うと、次のようになります。
- オプションを売る決済となる新規建てパターン
①コールオプション(買う権利)を買っている
③プットオプション(売る権利)を買っている - オプションを買い戻す決済となる新規建てパターン
②コールオプション(買う権利)を売っている
④プットオプション(売る権利)を売っている
すなわち、決済は「オプション取引の4パターン(新規建て)」の図で左右を入れ替えた形になります。こんな感じですね。
この時、日経平均株価が変動しているため、オプション価格も変動していることがポイントです。
オプション価格は日経平均株価と同様に日々変動しています。
この図では、青枠がコールオプション価格、オレンジ枠がプットオプション価格を意味しています。
満期日まで待つ場合は、オプション価格の変動は関係ないのですが、途中で反対売買で決済する場合には、オプション価格の変動を考える必要があります。
この図では、5/1に日経平均株価が23,000円に値上がりし、コールオプション価格が500円から600円に値上がり、プットオプションの価格が200円に値下がりしています。
この場合「コールオプションを買う」で新規建てしている場合、反対売買をすると「②コールオプションを売ってコールオプション価格を得る」ことになります。
つまり、600-500=100円の利益になります。
逆に「プットオプションを買う」で新規建てしている場合、反対売買をすると「④プットオプションを売ってプットオプション価格を得る」ことになります。
つまり、200-500=-300円の損失になります。
ついでなので他の2パターンも見ておきましょう。
「コールオプションを売る」で新規建てをしている場合、反対売買をすると「①コールオプションを買い戻し、コールオプション価格を支払う」ことになります。
つまり、500-600=-100円の損失になります。
「プットオプションを売る」で新規建てをしている場合、反対売買をすると「③プットオプションを買い戻し、プットオプション価格を支払う」ことになります。
つまり、500-200=300円の利益になります。
理解できましたか?不安な人は「オプション取引の4パターン(新規建て)」の図と、「オプション取引の決済パターン(反対売買)」の図を見比べながら、もう一度説明を読んでみてください。
満期日に権利行使されるパターン
次に「満期日を迎えて自動的に決済する(権利行使)」のパターンです。
なお、権利行使/権利放棄ですが、日経225オプションの場合は満期日にしか行使できません。満期日までは反対売買による決済しかできないのです。
ちなみに、これをヨーロピアンタイプといい、いつでも行使できるものをアメリカンタイプといいます。
権利行使なのか権利放棄なのかは、自動的に有利な方が選択されるので、こちらで選択する必要はありません。満期日は寝ていてOKです。
もう一度、最初の図を持ってきましょう。
4/1に、6/14に日経平均株価を22,000円で買う権利(コールオプション)を500円で購入しています。さて、6/14の満期日が到来しました。
日経平均株価が25,000円に値上がりしているため、権利行使して日経平均株価を購入した方が有利なので、自動で権利行使が選択されます。25,000円の日経平均株価を22,000円で買う権利を持っているため、差額の2,000円が利益になります。
満期日に権利放棄されるパターン
次に「満期日を迎えて自動的に決済する(権利放棄)」のパターンです。
4/1に、6/14に日経平均株価を22,000円で買う権利(コールオプション)を500円で購入しています。さて、6/14の満期日が到来しました。
この場合、満期日の日経平均株価が20,000円に値下がりしているため、権利放棄した方が有利なので、自動で権利放棄が選択されます。20,000円の日経平均株価を22,000円で買う権利を持っていますが、これを放棄するのです。
つまり、コールオプションを購入した500円が損失となります。
仮に、権利を行使した場合も考えてみましょう。
20,000円の日経平均株価を22,000円で買うことになるため、損失が生じます。
つまり、20,000-22,000-500=-2,500円が損失となります。
権利放棄をした方が、権利行使をした場合よりも損失が小さくなっていますね。
このように、権利を放棄することによって、損失をオプション価格のみに限定することができるのです。
オプション取引がリスクヘッジとして使われる理由が分かりましたか?
損失額を限定できる。これがオプション取引のメリットです。
オプション取引をもう少し詳しく知る
ここまでの説明で、オプション取引について、必要なことは理解できたと思います。
後はさっそく証券口座でオプション取引を実践して頂ければよいと思いますが、もう少しだけ、知っておきたいことを説明します。
権利行使価格を知る
オプション取引ではあらかじめ「権利行使価格」というものが定められています。
日経先物が5円刻みでの取引となるように、オプション取引でもあらかじめ「権利行使価格」が決められ、それに応じたオプション価格が定められます。
これを選択して、どの権利行使価格をそのオプション価格で取引するかを決めるわけです。
以下に、権利価格とオプションの種類の例を示します。取引ツールではこのような画面から、どれを取引するかを選択します。
将来の日経平均株価がどのように動くかを予想したら、この表のどのオプションをどのように(コールなのかプットなのか、買いなのか売りなのか)取引すればよいのかを考えます。
日経平均株価が22,000円の場合の例を示します。
コールオプション | 権利行使価格 | プットオプション | ||
---|---|---|---|---|
アウト・オブ・ザ・マネー | 125円 | 22,750円 | 325円 | イン・ザ・マネー |
150円 | 22,500円 | 300円 | ||
175円 | 22,250円 | 275円 | ||
アット・ザ・マネー | 200円 | 22,000円 | 250円 | アット・ザ・マネー |
イン・ザ・マネー | 225円 | 21,750円 | 225円 | アウト・オブ・ザ・マネー |
250円 | 21,500円 | 200円 | ||
275円 | 21,250円 | 175円 |
用語の意味を説明します。
用語 | 説明 |
---|---|
アット・ザ・マネー | 現在の日経平均株価に最も近い権利行使価格。 |
イン・ザ・マネー | 権利行使をした場合、買い手に利益が生じる状態。 |
アウト・オブ・ザ・マネー | 権利行使をした場合、売り手に利益が生じる状態。 |
もう少し分かりやすく説明します。
アット・ザ・マネーが22,000円の時に、権利行使価格が21,750円のコールオプションを持っているとします。この場合、権利行使すれば22,000-21,750=250円の利益になるので、買い手に利益が生じる「イン・ザ・マネー」の状態ということになります。
基本戦略を知る
基本戦略については別の記事で纏めようと思いますが、今すぐに勉強したい方のために、纏められているサイトを紹介しておきます。
ただ、纏められてはいますが、分かりやすくはないかもしれません。オプション取引をうまく使いこなすためには、いろんなサイトや本などで勉強してみてください。
日経平均株価が今後「上昇する」「下落する」と予想する場合の、コール/プットそれぞれの基本取引方針です。
ここまでで説明してきた「オプション取引の仕組み」が理解できていれば、自然とこの方針となることが理解できると思います。
オプション取引の最大のメリットは「損失を限定できる」ことだと説明しました。この図は、それを表したものです。
注意したいのは、「損失を限定できる」だけでなく「損失が無限大になる」パターンもあるということです。
表としてまとめると次のようになります。
権利 | 買い | 売り | ||
---|---|---|---|---|
利益 | 損失 | 利益 | 損失 | |
コール | 無限 | 限定 | 限定 | 無限 |
プット | 無限 | 限定 | 限定 | 無限 |
オプション取引は、慣れてくるまでは「コールの買い」「プットの買い」の新規建てのどちらかで取引するのが無難だと思います。慣れてきたら選択肢として「コールの売り」「プットの売り」の新規建ても考えてみましょう。
オプション取引は、それ単体で取引するだけでなく、現物株取引のリスクヘッジの手段としても有効です。
しっかりと仕組みを覚えて、投資戦略に組み込んでいきたいものですね。
◆GMOクリック証券
米国株CFD、日本株CFDならびに株価指数CFD。
ゴールドや原油など商品CFDも豊富。
◆LINE証券
1株から買える単元未満株を取り扱う。軽く投資を始めたい人に。
◆SBIネオモバイル証券
1株から買える単元未満株を取り扱う。手数料が定額制で売買頻度が多い人に。
◆One Tap BUY証券
1,000円から端数株(0.01株など1株未満)を購入できる。日本、米国の優良企業が揃う。
◆アイネット証券
FX(為替取引)の自動売買「ループイフダン」
◆ひまわり証券
高レバレッジCFDのくりっく株365。配当もある日経225やイギリスFTSEに。
◆SBI証券
ネット証券最大手。つみたてNISA、iDeCoにも。