IG証券の「ノックアウト・オプション」はノックアウト価格の設定により、小さな資金で利益獲得を狙える画期的な金融商品です。
また、リスク限定商品のため、想定を超えて大きな損失を出す心配がありません。
FXだけでなく世界の株価指数や金・原油など幅広い銘柄が取引できるため、様々な相場局面で活用できます。
しかし、慣れるまでは仕組みや取引方法が分かりにくいところもあります。
例えば・・・。
- オプション単価とは?単価の決まり方は?
- 最低取引数って?1ロットの単位は?
- 指値注文はできないの?
- 逆指値幅や指値幅はどう使う?
この記事ではアプリ画面のスクリーンショットを使って説明しますので、ノックアウト・オプションの使い方を分かりやすく理解できると思います。
なお、基本的なノックアウト・オプション取引の仕組みや、メリット・デメリットが知りたい人はこちらの記事をご覧ください。
この記事で分かること。
- ノックアウト・オプションの新規注文方法
- 注文画面の項目の意味と使い方
- ノックアウト・オプションの決済注文方法
ノックアウト・オプションの新規注文方法
ノックアウト・オプションの注文方法をドル円のブル(上昇)の例で説明していきます。
ノックアウト・オプションでは、現在の価格から「ブル(上昇)」するか「ベア(下落)」するかを選んで取引します。
バイナリー・オプションと同じなので、経験がある人は分かりやすいと思います。
銘柄とブル/ベアを選んだあと、次の画面で注文を入力します。
重要な項目は次の3つです。
- ノックアウト価格 (選択項目)
- オプション単価 (表示項目)
- ロット数 (入力項目)
逆指値幅や指値幅も入力項目ですが、まずは重要な3項目を理解しましょう。
それぞれの意味と内容を確認していきます。
新規注文画面の設定項目
入力項目、自動表示項目を以下の図にまとめました。赤枠が入力項目で、青枠が入力項目に応じて自動で計算表示される項目です。
【①ノックアウト価格 (選択)】
ノックアウト価格は、画面の初期表示時にはデフォルト値で設定されており、これを自分の設定したい値へと変更します。
ノックアウト価格は「強制決済(損切り)」される価格です。通常のFXでの逆指値(損切りする価格)と考えてOKです。
ノックアウト・オプションでは、自分で決めるノックアウト価格によってオプション料が決まり、これが最大損失額になります。
ただし、外貨建て銘柄の場合(ユーロドルなど)は、清算時の為替レートによっては日本円で最大損失額がオプション料を上回ることがあります。
ノックアウト価格で選べる値幅は銘柄ごとに決まっており、表示される価格を選んで決定します。
今回はブル(上昇)のノックアウト・オプションなので、選択できるノックアウト価格は現在の価格より下落したものになります。
- 「ブル(上昇)」の場合は、現在の価格よりも「下のレベル」で設定する。
- 「ベア(下落)」の場合は、現在の価格よりも「上のレベル」で設定する。
ノックアウト価格でオプション料とリスクが決まります。
ノックアウト価格を現在の価格と近い金額を選択するほど、必要なオプション料が少なくなります。つまり、少ない資金で取引ができるということです。
しかし、ノックアウト価格が現在の価格に近いと、ノックアウト価格に到達するリスクが高くなります。(ノックアウトのリスクが高くなる)
逆にノックアウト価格が現在の価格よりも遠いと、ノックアウトのリスクは低くなりますが、必要なオプション料が多くなります。
ノックアウト価格 | ノックアウトリスク | オプション料 |
---|---|---|
現在の価格に近い | 高くなる | 安くなる |
現在の価格から遠い | 低くなる | 高くなる |
ノックアウト価格が現在の価格と近いと「ハイリスク・ローコスト」であり、現在の価格と遠いと「ローリスク・ハイコスト」ということです。
【②オプション単価 (表示)】
オプション単価は「ノックアウト・プレミアムを含めた現在価格とノックアウト価格の差額」です。
計算式で書くと「現在価格-ノックアウト価格+ノックアウト・プレミアム」です。
ノックアウト・プレミアムとは「スリッページを発生させないための保証料」ですが、自動でオプション単価に上乗せされる保証料という程度の理解で大丈夫です。
ちなみに、ノックアウト・プレミアムはノックアウトされなかった場合は返金されます。利確の場合や、手動または逆指値で損切りされた場合は返却されます。
ノックアウト・プレミアムは銘柄ごとに異なり、リスクに応じて変動します。ボラティリティが高いものほどノックアウト・プレミアムは高く設定されます。
画面の例では、現在価格が11402.6(114.026円)でノックアウト価格が11330(113.3円)なので、その差は72.6です。
オプション単価が74.6と表示されているので、2ポイントがノックアウト・プレミアムであることが分かります。
- 74.6=72.6 (現在価格とノックアウト価格の差)+2 (ノックアウト・プレミアム)
【③ロット数 (入力)】
注文するロット数を入力します。
最低ロット数は銘柄ごとに決められていて、FXの場合は1ロットです。
【④オプション料 (表示)】
オプション料金は取引に必要な金額です。
先ほど説明したように、ノックアウト時の最大損失額でもあります。ただし、外貨建て銘柄の場合、清算時の為替レートによってはオプション料を上回ることがあるので注意してください。
オプション料金は「オプション単価×ロット数×1ポイント相当額」となります。
画面では1ロットで注文しており、1ポイント相当額は100円なので、オプション料は7,540円です。
- 7,450円=74.6 (オプション単価)×1 (ロット数)×100円 (1ポイント相当額)
【⑤逆指値幅(入力)】
逆指値幅はノックアウトされる前に損切りしたい場合に入力します。
ノックアウト価格が強制損切りの価格なので、最初からわざわざ逆指値幅を活用することはあまりないかな、と思います。
考えられる利用方法としては、注文後に損切りを浅めに設定し直したい場合くらいです。
ノックアウト価格は注文後に変更できないため、ノックアウト価格よりも前に損切りを早く実施したい場合は、手動での損切りか逆指値幅の入力で対応することになります。
画面の例では「10」と入力しています。
11402.6(114.026円)が現在の価格なので、10下落した場合の11392.6円(113.926円)に達したら損切りします。
0.1円の下落であり、ドル円の取引サイズは1万のため、1,000円の損切りになります。
※例として入力しているだけです。こんな入力をしたらあっという間に損切りされます。
【⑥指値幅(入力)】
利確をする値幅を入力します。
画面の例では「10」と入力しています。
11402.6(114.026円)が現在の価格なので、11412.6(114.126円)に達したら利確します。
0.1円の上昇であり、ドル円の取引サイズは1万のため、1,000円の利益になります。
【取引情報の説明】
最後にアプリの「取引情報」から確認できる項目の意味を説明します。注文する前に取引情報を確認して、取引サイズや最低取引数を確認しておきましょう。
「取引サイズ」は1ロットの取引単位(数)です。
FXの場合は1万通貨です。逆指値幅と指値幅で説明したとおり、1ロットでの0.1円の変動は1,000円の変動になります。
「最低取引数」は注文可能な最低ロット数です。
FXの場合は1ロットですが、株価指数CFDなどでは0.5ロットから注文できるものもあります。
「1ポイント相当額」は1ポイントあたりの金額です。
オプション料は「オプション単価×ロット数×1ポイント相当額」になります。
「取引期限」はポジションの清算期限です。
ノックアウト・オプションもオプション取引のため、取引期限があり、取引期限が到来すると強制的に決済されます。
新規注文時の注意点
新規注文時の注意点を2つほど説明します。
【①指値は不可】
ノックアウト・オプションでは新規注文時に指値はできないことに注意してください。
あくまでも「現在の価格に対して」ブル(上昇)かベア(下落)かを予想し、リスク許容度としてノックアウト価格を選択する、という方式です。
これはバイナリー・オプションでも同様です。
【②ノックアウト価格の変更は不可】
注文後のノックアウト価格の変更はできません。
ポジションを持った後でもう少しノックアウト価格を現在価格から離れた値に変更したいと思っても、それはできません。
一度ポジションを持ってしまったら、甘んじてノックアウトを受け入れるしかないため、注文時のノックアウト価格の選択はしっかり考えて決めましょう。
ノックアウト・オプションの決済方法
ノックアウト・オプションの決済方法は「自動で決済」するか「手動で決済」するかの2つです。
自動で決済する
自動で決済するパターンは次の3つです。
- ノックアウト価格に到達して自動で損切り決済される。(ノックアウトされる)
- 逆指値に到達して自動で損切り決済される。
- 指値に到達して自動で利益確定決済される。
注文方法で説明したとおりですが、基本的には利確のための指値だけを設定することが多いと思います。
逆指値は後からノックアウト価格よりも浅い損切りを設定したい場合には使えますが、最初から損切り価格を決めているなら、それをノックアウト価格に選ぶだけです。
手動で決済する
注文(新規建て)時に「指値」を設定していない場合は、手動決済する必要があります。
手動での決済は当然ですが「成行」決済になります。
スキャルピングなどの場合は良いですが、そうではない場合はちゃんと指値を設定しておくようにしましょう。
ノックアウト価格はポジションを持った後の変更はできませんが、指値幅と逆指値幅はポジションを持った後でも変更ができます。
IG証券ではノックアウト・オプションの他にも、株価指数CFDや個別株CFDの取扱いもあります。特に個別株CFDは取扱い銘柄数が多いため、米国株の個別株をCFDで取引したい人にはおすすめです。
当ブログではFXはノックアウト・オプションを使い、株価指数と個別株はCFD取引を使うといった使い分けをしています。
FXは基本的に短期トレードのため、損失管理が徹底できて資金効率の良いノックアウト・オプションを使い、株価指数と個別株は決済期限のないCFDで取引したいためです。